ICHIROYAのブログ

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あなたの食べている牛は、メタボリックシンドローム?

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by avlxyz

なんでもアメリカが進んでいるっていうことは、絶対にない。
たとえば、『食』。
日本食、日本人の食文化のほうが、よほど、深く、多用で、繊細だと思う。
最近では、霜降りの肉が『wagyu(和牛)』として定着してきており、美食の極みのひとつとして、『wagyu(和牛)』の良さが広がりつつあるようだ。


しかし、まったく正反対に、『grass-fed beef』を食べよう、という運動も数年前から盛んになってきている。
『grass-fed beef』というのは、牧草をたっぷり食べさせて育てた牛という意味だ。


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by supak



本来、牛は、草を食べて育つものだけど、現代の牛は、穀物飼料やビタミン剤・成長促進剤などを与えられ、狭い畜舎のなかで肥育されて、『生産』される。
和牛もその最たるもので、肉に脂肪を霜のように含ませようとすると、なるべく早くたっぷりと太るように食べさせて、運動もさせずに育てる。
そうすると、『生産性』は上がり、よくサシの入った高く売れる肉となるが、牛は、いわば、メタボリックシンドロームになるべく育てられているようなものだ。
実際、日本の食肉牛の85.5%は、病気等で廃棄(一部廃棄+全廃棄)されているという。


和牛ほどでなくても、広いアメリカといえども事情は同じで、草だけを資料に育てて、市場に出すほどの大きさにするのは、難しいことらしく、主流は穀物飼料となっている。
しかし、本来、草で育つ牛をそうして、無理に大きく早く育てるのは、どうなのか。
栄養価は十分なのか、薬剤の影響はないのか、そして、それは倫理的に許されることなのか、と問う意識が広がりつつあるようだ。
調べてみたら、『Grass-Fed Revolution』という、このタイムの記事が掲載されたのは2006年で、すでに、2012年1月から、USDA(アメリカ合衆国農務省)の新しい表示基準が施行されており、『Grass-fed』という言葉は、一定のルールに従って育てた牛にだけ、表示を許されるようになっている。


さすがは、アメリカである。
しかし、それも、簡単な話ではなく、その基準が曖昧である、として、多くの生産農家が、その表示を拒んでいる、ということだ。(以上参照元


ところで、同じような問題意識を持ち、同じ時期から、そういうことを始めた日本人がいる。
古屋輝行氏だ。

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広告ディレクターとして長く大丸で活躍され、大丸在職中から、食肉の安全性について追求し、阿蘇の上田尻牧野組合と組んで、『草うし』の生産、拡販、啓蒙に取り組まれてきた。
古屋氏は言う。

そもそも、霜降りの肉が美味しいというのは、神話に過ぎない。
牛は本来、広い場所で、草を食べて育つものだ。
そうして育てた牛の肉の味が、本来の肉の味で、それが、一番自然で、美味しいのだ。
また、濃厚混合飼料とクスリ漬けでメタボになるように育てられた牛の肉が、安心で安全なはずがない、と。


そして、古屋氏の凄いところは、その牛を育てるにあたって、客観的な基準を自らに課したことだ。

生後間もなくから親子放牧を3~7ヶ月間実施する
生涯全給餌量の35~40%(乾草換算。生草換算すると55~60%)以上を牧草で与える
抗生物質、成長促進剤や栄養補給剤は与えない
舎飼い時の環境も最低一頭あたり6㎡以上確保



などである。(詳しくはこちら
古屋氏は、『草うし』が広く認知され、大きく育ったときに、その基準が曖昧になることを、そのスタート時点に予見しておられたのだ。
その慧眼に感服するほかない。
実際、アメリカでも、せっかく、「Grass-Fed」という表示基準ができたのに、それが曖昧であるとして、問題になっているのである。


もちろん、僕も古屋氏の手がける『草うし』をなんどもいただいている。
脂っこくなくて、めちゃくちゃ、美味しい。(過去記事
『草うし』を素材に使い始めた有名レストランシェフも増えてきたという。


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なぜ、今日、『草うし』の話かというと、その古屋氏から、HPがオープンしたので、宣伝せよ、と指令が飛んできたのである。

草うしプロジェクト運営会議委員 古屋輝行 『草うしのおじちゃん』


自ら、「草うしのおじちゃん」などとカワイコぶっておられるが、古屋輝行氏とは、誰あろう、このブログにもなんども登場した、かつての僕の鬼上司『Fさん』なのであった。(Fさんについての過去記事「そこまでやるかと言われて普通」


さすが、Fさんの仕事である。
たしかに、『草うし』のすべてがわかる、素晴らしいページに仕上がっている!
本にしたら辞書ぐらいの内容が詰まっている。
時間の限られた人にも知ってもらえるように、エッセンスを動画にしてYoutubeにあげてみてはどうでしょうか、と提案しているところだ。


ま、ともかく、食べてみようと思われたら、
大丸さん(心斎橋店、京都店、神戸店、芦屋店、山科店)と松坂屋さん(名古屋本店、銀座店、上野店、静岡店、豊田店)で買えるので、どうぞ。



PS 古屋部長! ちゃんと紹介しました! コメントでも残してくださいね!(笑)