ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


シェルターから命を救ってやった犬に、飼い主が命を救われている話

f:id:yumejitsugen1:20120430201751j:plain



あるワンちゃんの話に、考えこんでしまった。
ここで紹介されているシェルビーちゃんは、ひどい虐待を受けていて施設に保護された。シェルビーちゃんを引き取った飼い主は、引き取ってから一ヶ月後、持病が悪化し、毎日発作を起こすようになった。
すると、シェルビーちゃんは、飼い主が発作をおこすと、飼い主の体に覆いかぶさるように乗って、発作の間危険なことがないように、体をおさえてくれるようになった。
しかも、飼い主の発作を事前に察知することも覚え、発作がおきそうになると、飼い主にその兆候を教え、体をかぶせてくるそうだ。
それが1年でおきたことだ。
飼い主の方がおっしゃっている。

「シェルターからシェルビーを救ってやったと思っていたけど、実際は、シェルビーが私を救ってくれたのです」


そういえば、何年か前、てんかんなどの発作を事前に察知して知らせる犬がいるという話を聞いたことがあった。
調べてみたら、飼い主が発作をおこしたときに、飼い主が怪我をしないように助けたり、自分を傷つけないように守ったり、する犬を欧米では「Seizure Response Dog(発作対応犬)」と言うそうだ。そして、その中には、事前に察知できる子もいる、ということだ。


シェルビーちゃんの場合、飼い主と犬の精神的な強い絆が生んだ奇跡に近いことだと思う。
それを訓練してできるようにするのは、なかなか難しそうである。


ところで、こういったシェルビーちゃんのような、人間の生活を助ける犬たちのことを、介助犬(Service Dog)という。
シェルビーちゃんのような能力をもった犬もいるが、多くは、動作を助ける犬だ。
たとえば、ドアを開けたり、ものを取ってきたり、車椅子を引っ張ったり、転んだ時、立ち上がるのに手を貸してくれたり、洋服を脱ぐ手伝いをしてくれたり。
中には、ATMからお金を引き出して渡してくれる子もいる(ホントです→こちら
高齢化もすすみ、誰もが、自由に体を動かせない日を迎えることがほぼ確実であるが、こういった介助犬は、そのような状況になっても、自立を維持するのに、とても役立つようだ。
アメリカの研究者によると、介助犬の手助けで、人的介護の必要な時間が激減し、それをドルに換算すると、介助犬一匹あたり年間6万ドル(の人的介護費が浮く)になるという。
それほど、介助犬の能力というのは、凄いそうだ。


実際の所、僕も、ときどき腰痛で動けなくなったり、足を骨折して不便したりすることがあるのだが、頭がはっきりしている間は、どなたかのお世話になるより、介助犬に助けてもらいたいと思う。
うちのラブは、甘えて、悪さして、食って、走って、破壊して、寝るだけなんだけど。


さて、日本でも、
2003年に身体障害者補助犬法が施行され、公共施設の介助犬同伴の受け入れが義務化されている。「身体障害者補助犬」というのは、盲導犬聴導犬介助犬を指す。
あまり知られていないようだけど、どういうことかというと、盲導犬聴導犬でない、介助犬でも、公共施設や一般的な店鋪は、犬同伴で利用可能である。(施設側は正当な理由なしに断ることができない)
介助犬を連れて、ショッピングもできれば、レストランで食事もでき、電車やバスにも乗って、飛行機にも乗れる。海外旅行も、国によっては可能だ。


施行後、もう10年経つ。
残念ながら、介助犬の理解がすすんでいない。
介助犬がどれほど障害がある方に、あるいは、将来の自分の自立に、いかに役に立つか。
そして、それが社会にとって、介護費用の軽減になる可能性があること。
それを知っているひとがいったいどれほどいるだろう。

受け入れ側にも問題はある、
いまだに、
身体障害者補助犬法を知らない、ホテルや店鋪・飲食店。
知っていても、罰則がないために、利用を断るひとたちも多い。(西鉄久留米駅周辺商業施設における調査



平成23年2月1日現在。
介助犬の実働頭数は、わずか53頭である。(盲導犬1070頭、聴導犬27頭)
日本でも、犬との絆がシェルビーちゃんのような奇跡を生み、自らの自立を助けてくれる存在になりうることを、もっと多くのひとに知ってもらいたいものだ。


*写真は、古着屋の飼い主が仕入れた、1970年度の警察犬チャンピオンの衣装を着て、トクイ気なラブ。