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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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『ニッポン号の世界一周』大冒険とマスコミの誇り

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『ニッポン号の世界一周』大冒険を、いったい、どの程度の人が知っているだろうか。
おそらく、僕より下の世代のひとで、知っているひとはほとんどいないだろう。
僕も知らなかった。


たまたま、先日ゲットした、戦前のちゃんちゃんこの柄に「ニッポン」と記された飛行機の絵があり、調べてみてはじめて知ったのだった。


『ニッポン号の世界一周』が世界一周の大冒険を挙行する2年前の昭和12年、朝日新聞社の『神風号』が、東京ーロンドン間の新記録での飛行を達成している。純国産機、日本人パイロットによる飛行で世界の記録を塗り替えて、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。
この壮挙により、朝日新聞は大幅に部数を伸ばした。

そして、朝日新聞には負けられぬと、対する毎日新聞が計画したのが、『世界一周飛行』だった。


いまの時代からは想像しにくいが、当時は、太平洋を横断することが、そもそも、大冒険であった。
何度も失敗したあと、アメリカ人が、太平洋横断飛行が成し遂げてヒーローになったのは、昭和6年。日本人で、その経験をもつものは、まだいなかった。
手記によると、リンドバーグに習って、万一、ベーリング海に不時着したときのことを考え、携帯の釣竿をゴムボートに装備した、という。
また、出発前には、太平洋だけは船に乗せて横断したほうが良いとか、航路の下に船を数珠つなぎに並べて待機させておいたほうが良い、とか、まじめにアドバイスをする人もいたそうである。
それほど、太平洋の横断は、難関だったのである。

 

それを達成できる飛行機は何か。
太平洋と大西洋を横断するほど、安定して長距離の飛べる純国産機。
辿り着いたのは、当時最新鋭だった、海軍の『九六式中型攻撃機』だった。
それを民間に貸与してもらうについては、相当な困難があったようだが、
山本五十六海軍次官などの理解により、骨組みだけの一機の貸与が決まり、それを旅客機仕様に改造して使うことになった。

 

そして、さらに深刻な問題があった。
時代は、太平洋戦争前夜。
出発の3日前には、独ソ不可侵条約が突如締結され、出発の6日後には、ナチス・ドイツ軍のポーランド侵攻、第二次大戦が勃発するのである。
訪問先の国々での対日感情の悪化や、フランス領の北アフリカの着陸許可がでるのか(大西洋横断の着地として想定されていた)といった難問が山積していた。


が、それでも、ともかく、行けるところまで、行け!とばかりに、7人の乗員は、大冒険に乗り出したのだった。


新聞社としての、絶対に、負けられない対抗心。
ニッポンという国の誇りを、自ら世界に示したいという自負心。
中止という選択肢はなかった。


実際に、大冒険であった。
なんとか2ヶ月弱をかけて、世界一周を終えて日本に帰ってきたのだけれど、太平洋上では、乗員全員が意識を失っており、あわやというところであった。
嵐を避けるために高高度を飛んだのだけど、酸素ボンベが足らず、一時、乗員すべてが倒れていた。ただ、当時最先端の自動操縦装置が装備されており、そのおかげで、危機は間一髪で免れたのだった。

 

彼らの手記がこちらで読める。 (こちらのブログも参照させていただきました)


それにしても、この大冒険のそもそもの原動力が、新聞社のライバル心であったというところが面白い。
また、それが、日本人の矜持に直結していた、という点も、良い時代だったんだなあ、と思う。
そして、この大冒険に、毎日新聞の人が、まさに命を賭けた、という点が凄い。


そういえば、一昨年、大きな事故があったとき、大手マスコミは社員を安全な場所において、危険な取材を許さなかったと聞いた。
本当かどうか知らないけど、もし、本当だとしたら、 『ニッポン号の世界一周』の偉業を思い返して欲しいものだ。
マスコミの使命とニッポン人の誇りを。

 

 

 

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ナチスなどの各国旗


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ニッポン号の世界一周の航路