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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


ピラニアショーの思い出とチャーミングな大正の金魚の帯

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大学時代、水産学科だったのだが、誰かの研究室には水槽がおいてあった。
その水槽にはピラニアが2匹入れられていた。
ときどき、誰かが、小さな金魚を数匹買ってくる。
で、「さあ、ピラニアショーだ」と、みんなを呼ぶ。
もちろん、哀れな金魚の子供たちは、ピラニアの餌になってしまう運命なのだ。
たしかに、それは自然界の掟で、小さくチカラのないものは、ピラニア様の餌になっても、仕方がないのであった。
白衣を着たアクタレたちは、小さな金魚たちを、
情け容赦なく、水槽に放り込む。
そして、水槽に顔を寄せて、自然界で日常的に繰り広げられているであろうその惨劇を、見つめる。

そして、それを熱心に見つめる僕らも、やがてモラトリアムの学生時代も終わり、その金魚たちのように、社会という水槽に放たれる日がくることはわかっていた。


金魚というと、なぜか、その金魚たちのことを思い出す。
あれは、ハタチの夏のことであった。


なぜ、季節はずれの今に、急に金魚の話かというと、アンティークのこんな帯をゲットしたからだ。
夏の帯に金魚の柄は、珍しくもない。
でも、このアンティークの帯が逸品だと思うのは、その意匠と織りだ。


ふくよかな金魚は、揺れる水面の下に見えているので、その輪郭は、すこし揺らいでいる。
しかも、そのデザインは、クレヨンででもさっと走り書きしたような、勢いをもった筆致で描かれている。
それが織りで、表現されているのだ。
あっさりした単純な意匠に見えるが、よく見ると、そいういった計算の元に、柄が織り出され、それが透けた生地の夏帯に、さらに涼感を与えていることがわかる。


金魚という、ごくごくありふれた、使い古されたモチーフを選びながら、見たこともないような涼感を織り出したこの帯は、大正ロマン華やかし頃ならではの、素晴らしい逸品だと思うのだ。


しかも、未使用かと思わせる状態の良さである。


ああ、しかし、例によって、僕らの住む社会は、ピラニアも住む弱肉強食の世界だったのだった。
この帯が僕らのところに来るためには、厳しい戦いを戦い抜いて、ゲットする必要があったのだ。
何が言いたいか、というと、その分、この逸品も、お高くなってしまって、僕らの商売には、貢献してくれないかもしれないのだった。


とほほ。


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