ICHIROYAのブログ

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あなたの教養度に再挑戦!(このデザインの意味わかりますか?)

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最近、入手した男ものの羽織の裏の図案である。
天使と鳩の絵が描かれている。
なんだか、ユニークなデザインだったので、がんばってゲットした。
もちろん、「儲かりそうだ!」と思って、買い切ったわけではなく、「面白そうだ!」と思って買ったので、あえて、ここに宣言しておく。

教養があれば、この図案の意味するものは、一目瞭然であって、その時代背景、つくられた年代もソッコーでわかるはずである。

もちろん、あなたは、わかりますよね?

なに、わからない?
ちゃんと、考えてみてくれました?
もうちょっと拡大した画像を見ればどうです?

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まず、気になるのは、3枚の写真である。
3か所のものなのか、どこか、1か所のものなのか。
おそらく、ちゃんと世界史の眠たい授業を聞いていたひとなら、この写真に見覚えがあるのではないか、と思う。

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そう、これは、ベルサイユ宮殿の「鏡の間」の写真で、第一次世界大戦終結時に結ばれた、ベルサイユ条約が締結された舞台となったところである。

となると、残る3枚は・・
噴水も建物もベルサイユ宮殿のものであることに、合点する。

そして、ベルサイユ宮殿の隅にデザインされている国旗が気になるだろう。
日本の日の丸、アメリカの星条旗、イギリスとフランスの国旗、そしてイタリアの国旗らしきものがある。

で、はっきりと、思い出す、いや、思い出したかったことは、第一次世界大戦の主要連合国は、アメリカ、イギリス、フランスであり、イタリアは途中から連合国側に寝返り、日本も連合国に参加していたということである。
その主要国の国旗が、配されている。

つまり、わかってみれば簡単なことなのだけど、この絵は、第一次世界大戦の終結による平和の到来を祝福する、連合国側から見た、デザインなのだ。

どこか生々しさのないデザインが、日本にとって、その戦争が遠くで行われた、生存の成否を決めるような決定的な戦争ではなかったことに由来すると思える。

そもそも、イタリア国旗のデザインが間違えている。
イタリア国旗は年代によってかなり変わっているけど、この葉裏にあるデザインであったときはないようなのだ。


ということがわかると、この羽織そのものが、大正の時代の雰囲気を濃く反映した秀逸なデザインとわかり、「面白そう!」という直感が正しかったと思えるのだ。
で、もちろん、儲かるかどうかは別で、上にも書いたように、儲けるつもりで、この逸品を買ったわけではないので、やはり、いまだこの逸品は売れず、永久保存在庫となりそうな気配が漂うのだ。

でも、まあ、古着屋というのは、いつも教養がためされる、かように、楽しい職業ではあるのだ!