ICHIROYAのブログ

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「ほんとうの夢」を生き始めるのに、遅すぎるということはない(70才デビューのサスペンス作家の話)

Mad Dog House

Mad Dog House



幼いころの夢に向かって歩みだすのに、遅すぎることなんかない。

素敵な話をみつけた。

黒田夏子氏が75才で史上最年長の芥川賞を受賞された。
いまから紹介しようとしている、マーク・ルービンシュタインさんも70才での作家デビューを果たしたひとである。
黒田氏の場合は、若い頃からコツコツと書いてきた結果、作家として大成したわけだが、マークさんの場合は、ちょっと事情が異なる。

 

*「夢を生きる」(Living the Dream)
* Mark Rubinstein氏のウェッブサイト
* Mark Rubinstein氏  プロフィール


 子供のころ、彼の夢は野球選手に、ドジャーズスラッガー、ギル・ホッジスのチームメイトになることだった。
そして、スポーツ小説を読みはじめたことから、小説の虜になり、ヘミングウェイエドガー・アラン・ポージャック・ロンドンなどが憧れの的となった。

小説家になること、それが夢になった。

しかし、書き始める勇気はなく、かわりにニューヨーク大学にはいってとりあえず経営を学んだ。
そして、卒業とともに軍隊へ行った。

軍隊では衛生兵としてパラシュート部隊に所属して、むこうみずなパラシュート兵たちの手術に立ち会ったり、包帯を巻いたり、解剖したりした。
そして除隊後、ニューヨーク大学の医学部に再入学する。

精神科を専攻に選び、それが、小説世界の強いつながりがあることに気づく。
すべての患者が、完全にユニークなストーリに彩られているのだ。
精神科の医者として、講演で症例を発表するようになる。その発表があまりにリアルで、小説を読んでいるようなわかりやすさだったことから、小説家としての才能があると言われた。


だが、それでも、彼は小説を書き始める勇気を持てなかった。

その後、精神科の医者として、おおいに活躍した。
司法精神医学に魅了され、9.11同時多発テロなどの犯罪被害者の文書作成などに携わる。彼の書くそういった文書からは、それぞれの被害者の人生が、活き活きと立ち上がってくると、法律家の間で評判となる。

しかし、それでも、彼は、小説を書き始めない。
「そのうち、いつか」書こうと、自分に言い聞かせながら。

5人の共著者とともに、一般向け読者向けの医学関係の本を書いて、評判となった。
ノンフィクションなのだけど、彼のパートには、会話とドラマが持ち込まれており、その部分がこの本のハイライトであった。

それでも、彼は夢に踏み出さない。

しかし、彼の妻が癌になる。
珍しい危険な癌だったが、彼女は癌に立ち向かい、幸い、良くなっている。
その時、彼は、ちょうど70才になった。

そして、ようやく彼は気づくのだ。
何を待っていたのか、と。
いま始めない、どんな言い訳があるのか、と。

精神医療から引退し、フルタイムで小説を書き始める。
ひょっとして、遅すぎたんじゃないか、と心配する彼に、86才の友人がアドバイスする。
「永遠に生きるつもりで、書くんだ。やめるんじゃない」


そして、書き上げたのが、「Mad Dog House」。
傑作サイコ・スリラーに仕上がっているようで、アマゾンのレビューでも、118/139の5つ星、「読みだすと止められない」と圧倒的な評価を得ている。


彼は、精神科医として働きながらも、じつは、「ほんとうの夢」を隣に置いて、生きてきたのだ。
夢のほうでは、彼を引き寄せようとして、何度もサインを送っているのに、気づかないふりをしてきた。
しかし、その夢が、「ほんとうの夢」であれば、やがてそいつは、そのひとを引きずり込み、その花を咲かせるのである。
それのひとが何才であろうと、だ。


マーク・ルービンシュタインさんのこの話は、たんなるシニアの成功物語を越える啓示が含まれているような気がしてならない。


' It's never too late to live the dream.' ( by マーク・ルービンシュタイン )


そう、「ほんとうの夢」を生き始めるのに、遅すぎるということは、けっしてないのだ。