ICHIROYAのブログ

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福袋狂想曲!(「福袋」担当者のホンネ)

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福袋のブームは、ちょっと沈静化したのだろうか。
百貨店で働いていたとき、お正月といえば、福袋であった。

企画担当者としては、ふたつの意味で、大きな勝負のときである。
そして、企画課長としてスタッフを束ねていたときは、とくに責任は重かった。

ひとつめは、もちろん、売上とお客様の動員を目指す、短期勝負。
お客様をがっかりさせない内容の福袋をどれほど多くつくれるか。
そして、どれほどのお客様に来店いただいて、全体としてどれほどの売上げを上げれるか。

ともかく、中身が大切だ。
正月早々、寒さに震えながら、朝早くから並んで、ゲットした「福袋」の中身が、いかにも売れ残りばかりだったら、怒り狂ったお客様に、言い訳の言葉もない。

お客様が何を求めておられるか、必死に考える。

いつも、販売を始めてしばらくすると、多くの福袋の封が破られている。

そうか。

ファッションの福袋を買うときに、サイズがわからないのは、不親切だ。
じゃあ、袋の外にサイズを書いて、そのサイズのものばかり入れよう。

そもそも、何が入っているかわからないのは、不親切だ。
じゃあ、透明の袋に入れよう。

なんだ、そんなんじゃ、「福袋」じゃない、じゃないか。
いっそ、全館、値札のゼロをひとつとって、販売しちゃったらどうか。
馬鹿! まじめに考えろ!

 

さて、もうひとつは、最高の広報チャンスである、ということだ。
ふだん、こっちが取り上げて欲しいと思っていくら頼んでも反応の鈍いマスコミ各社が、福袋ネタとなると、目の色をかえる。
お正月は、いつもあまりニュースがないので、ちょっと変わった「福袋」ネタには、くらいついてくるのだ。

だから、担当者も、「ちょっと馬鹿げてるかな」などと思いつつ、「マスコミ受けしそうなおもしろい福袋」を企画しようと必死になる。
「福袋」とは名ばかりの、1億円福袋とか、だれだれとまるまるする権利とか、豪華客船で世界1周クルーズとか、である。

まるで、小売業の企画担当者たちの、甲子園だ。
ヒットを打てば埋もれてしまうことはなく、かならず世間のまぶしい注目を浴びる、1年に1回だけの機会なのだ。


しかし、簡単そうに見えて、じつはなかなか難しい。
そうとう突拍子もないことだけど、ひょっとしたら実際に買う人がいるかも、っていうぎりぎりの線を狙う必要があるが、たいていのことは、すでに誰かが考えついている。



と、このようなことをみんなと一緒に考えていた。
そして、僕にはもうひとつ、大きな仕事があった。 
 

お客様が何千人と並ばれるのだ。
寒い中、正月の早朝から。
何千人のお客様が、殺気立って押し寄せるさまが、どんなに恐ろしいものか、経験者しかわかるまい。

なるべくお客様に寒い思いをさせぬよう、また通行人やほかのお店の邪魔にならないように、計画を立てる。
そして、とにかく、事故がないよう、細かくシュミレーションして、係員の配置を決め、誘導の手順を周知徹底させる。
ときには、本社のエライサンをもかりだして、行列のあちこちで、タチンボをしてもらう。
こっちは万が一にも事故がないように、最大限の行列を予想して、人員を配置する。
しかし、ピークは早く過ぎるから、エライサンたちが手持ち無沙汰になったりもする。
そして、そのスジからぶつぶつ言われたりする。

うるさい!
知ったことか!

僕は立派なサラリーマンではなかったけど、さすがに、そうは言わず、「すみません、すみません、助かりました、ありがとうございます」と頭を下げる。

 

と、まあ、そんなこんなで、かつて、楽しい「福袋狂想曲」とともに、新しい一年が始まるのであった。

さて、今年の福袋、どんなもんかな?