ICHIROYAのブログ

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うちにある旗の話

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古い着物をあつかっていると、荷物のなかにこういった日章旗が混じっていることがある。
僕らの世代にとって、「戦争」は、話として聞くものでしかない。
が、こういうものを手に取ると、お話としてではなく、たしかに、そこにあった「戦争」の「実物」触れているような気がして、はっとする。

なぜこの日章旗は、古着のマーケットに回ってきたのだろう・・・


これを持って出征した本人は、無事、戦地から生還したのだろう。
あるいは、出征直前に、終戦を迎えたのかもしれない。


出征にあたって、知人や親戚が、何十人も、武運を、そして、本来は許されない祈り、生還を祈って、丹念に書き集めた署名。
無事の帰還を遂げた本人は、この旗をしまいこみ、戦後の混乱を、必死に生き抜く。
そして、日本は奇跡の復興を遂げ、子供たち、孫たちも豊かな生活を送る。
やがて、本人は亡くなり、遺品が整理され、知ってか知らずか、この旗も業者の手に渡る。

そして、たまたま、この旗はうちの倉庫にある。
この旗をどうしたらよいものか、わからない。
すでに何人かの手を渡っており、出元を探すのは容易ではない。
僕の想像が正しければ、戦死者の遺品ではないし、処分すべくして処分されたものかもしれない。
ひょっとすると、想像が違っていて、戦死者の遺品なのかもしれない。
戦死者の遺品であれば、しかるべき神社に祀られるべきものかとも思う。

どうすべきか、わからないので、うちの倉庫にある。
大正期の素晴らしい着物たちとともに。

何十人もの悲しみと祈りと覚悟がこめられたまま。
僕にとっても、どうしても、飲み込めない、過去の人たちの思いとともに。

( 写真は、名前の部分は読めないよう修正してあります )