まじめなまじめな話(2) ~~ 危な楽しい海外向けEC
この土曜日に、大分で、セミナーを開催させていただくことになり、その準備をしていて、色々と感じることがある。 ( セミナーの内容はこちら ~ 絶対損はさせません。まだ申し込み受け付け中です~~ )
我社も海外向けECで事業をスタートし、一時は、年3億に迫る売上をあげていたので、海外向けのECをお手伝いする仕事もしている。( *ショップーオーナー制 )
しかし、海外向け売上の急落にともない、この仕組を積極的におすすめすることは、手控えている。
この海外向けネットショップのASPを提供するにあたって、色々と考えた。
- その事業としての収益を優先するのか
- ASPの利用者の収益を優先するのか
どちらを選ぶのか、ということである。
自分で色々なものを販売してみた経験から、なんでもかんでも売れるわけではなく、汗水垂らして海外マーケットに踏み込んで悪戦苦闘しなければ、成功しないことはわかっていた。
ならば、「片手間にやってみる」程度のかたにそんな仕組みを販売しても、利用者は毎月利用料がかかるだけで、やがて、損だけ残して撤退必定である。
それでも、ASPの提供側は、そういった利用者が増えれば、収益は上がっていく。
そういう道もあることはわかっていた。
自身、3億近く売っているという実績をもって煽り、海外は売れます売れますと連呼すれば、もっと利用者も獲得できただろう。
でも、僕にはそういうやりかたはできなかった。
おそらく、それが僕のビジネス観の限界だろう。
結果、利用いただいたのは4社さんに留まり、うち1社さんは撤退されたが、残る3社さんには、現在に至るまで、継続していただけている。(コンスタントに売上がある)
さて、最近、改めて調べてみると、海外向けの売上の低調さにもかかわらず、海外向けのネットショップのシステムは、以前に増して、さらに色々なものが提供されている。
おかげで、色々な選択肢ができて、海外向けの販売を試みようとしている方々には、便利な環境が整ってきた、と言えるかもしれない。
その仕組は、ほんとうに、利用者のことを考えているんですか? それとも利用者さんが売れなくてもあなたが儲かればそれでいいんですか? などとは、問うまい。
それにしても、気になる点があるのだ。
2年ほど前、経済通産省から派遣されたかたのヒアリングに応じた。
やがて、その結果はまとめて、ガイドラインとして提供するとおっしゃっていたのだが、「越境EC応援ポータルサイト」として、たちあげておられた。
そのなかに、「越境ECに関連する法制度、トラブルへの対処」という項目がある。そして、こちらに、当時、僕が懸念としてお伝えしたことが、ヒアリング内容としてそのまま掲載されている。
「国境を越える電子商取引の法的問題に関する検討会(報告書)(経済産業省)」
海外向けECを考えられているかたは、始める前に、上記のPDFを一読することをお薦めする。
このサイトそのものは、「越境EC」(海外向け通販)を支援するためにつくらている。
なので、僕が心配しているリスクについて、ことさらに悲観的に書かれてはいないけど、法律用語・文法で満ちたその文章を丁寧に読めば、海外向けECが内在するリスクについて、充分にわかっていただけるはずだ。
海外向けECは、「個人輸入だから、国内法にだけ準拠していれば良い」とか、「紛争時の準拠法は日本と明記しておけば海外で訴えられることはない」とか、いう人がいる。
上記のページを見ればそれが通用しない場合もあることは明らかなのに、故意だか、不勉強だか知らないが、そんなことはいっさい述べず、「縮小続く国内よりも、これからは海外向け」ですよ、という。
はっきり言って、リスクをちゃんと説明せずに、海外向けECを薦めるすべての事業者は、不誠実極まりない、と僕は思う。
万一、訴えられたらどうするのか。
上の資料に詳しく書いてあるので、ここに詳しくは書かない。
一言だけ書いておく。
海外向けECのリスクを減らすには、相手国(アメリカなら州)の消費者保護や製造物製造責任に関する法律を調べて、それに対応したほうがよい。それをせずに販売して万一事故が起きれば、相手国での訴訟にさらされる危険がある。(しても訴訟リスクがなくなるわけではないが、訴訟の動機は減る。また、「意図的にその国に向けて販売した覚えがない」という主張を通せるなら話は別。)
そんな暗い話だけでなく、どうやって海外向けECを始めるかとか、安全な決済の方法とか、色々、セミナーでお話します。ぜひ、セミナーに来てください。
セミナーあとには懇親会もあります。
酒を飲みながら、「日本を世界へ」売る方法を、一緒に語りましょう!
海外向けショップの仕組みを販売しているかたも大歓迎です!
どっとこむおおいた セミナー 2012年10月13日(土) 13:15~ 大分駅近く コンパルホール4Fで。
PS 上記の記事は、リスクの大きさをどう見るか、について、僕の主観、ビジネス観を強く反映したものになっています。もちろん、そのリスクを取るにたらないもの、と思われるかたもおられるでしょう。もし、迷われたら、ご自分で上記のPDFを読み、また、アメリカの訴訟事情などを、調べてみられることをお薦めします。
( 写真はアンティーク名古屋帯 何が見えますか? 現実はこんがらがって見えにくいですねえ~~)