やっぱり、ラブは僕より賢かった!(犬はどこまで賢いか)
ラブを飼いたいと思った理由のひとつに、犬っていうのは、どこまで賢くて、どんなコミニケーションがとれるのかについて、強烈な好奇心があった、ということがある。
ご覧になったひとも多いと思うが、あるテレビ番組で、こんな実験をやっていた。
飼い主に深い穴に降りてもらう。四面が壁で自力で上がる方法はない。
少し離れた木に、ロープがつないであり、まとめてある。
そのロープを穴まで持ってきて、穴に放り込めば、飼い主はそのロープにつかまって、穴から脱出できる。
さて、そういう状況で犬を放して、飼い主が穴から叫ぶ。
「助けてくれ~!ロープを取ってきてくれ!」
たしか、100組ぐらいの飼い主と犬がこの実験をした。
やはり、どの犬も、右往左往するばかりで、ロープとってくることはできなかった。
だが、最後の一匹のゴールデンレトリーバーは、さっさとロープをくわえてきて、穴に投げ込んだのである。
仰天した。
犬はそこまで賢くなれるのか?
さて、そんなわけで、この子がやってきたのである。
しかし、彼女と4年近く暮らしているが、残念ながら、あのゴールデンレトリーバーのような賢明さの片鱗は、現在までのところうかがうことはできない。
まあ、毎日、写真のようなアリサマである。
すこし調べてみたところでは、ラブラドールレトリーバーが盲導犬になるのは、犬種のなかで一番賢いからというわけではなく、ボーダーコリーのような犬のほうが人間の命令をよく聞くそうである。
ラブラドールとゴールデンの比較でも、ゴールデンに軍配が上がる。
うちのはラブラドールだしな、と思ったものの、やはり気になるので、よく、犬関連の本を買ってしまう。
最近、買ったこの本が、凄く説得力があった。
犬はあなたをこう見ている ---最新の動物行動学でわかる犬の心理
- 作者: ジョンブラッドショー,西田美緒子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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犬というのは、訓練されたらできることは多いけど、やはり、『論理的に考えて行動する』ということは、苦手なようである。
たとえば、餌に紐を結んで、紐をひっぱれば、餌が近づいて食べることができるという実験。
訓練すれば、紐をひっぱることは覚える。
けれど、その紐を交差させると、犬は、餌のついた紐をたどることはせず、一番餌に近い紐をひっぱる、という。
*(1)ではBをひっぱれるが、(2)でCをひっぱれる犬はいない。
人間にとっては、ごく単純に思える、こういう論理的な判断というのができないそうである。
犬は人間と暮らすことを覚え、人間に飼われやすいように進化の樹をたどってきたために、餌を獲るための、そういった能力、環境を論理的に判断するという能力を、いわば放棄してきたようなのだ。
オオカミには、そういった能力は、犬よりもあり、また、おそらく、シャチや象などには、想像以上に備わっているのではないか、と思う。
犬はそういった能力のかわりに、飼い主の命令に敏感に反応するという能力を獲得したのだった。
そういえば、最初に書いた、賢いゴールデンレトリーバーであるが、「樹につながれたロープを投げ入れれば、飼い主が穴から脱出できる」と「論理的思考」を働かせて、その行動をとったわけでなく、「ロープをもってこい」という命令に従ったまでなのかもしれない。
うちのラブはだめだが、いく種類のもののなかから、言われたものを選んでもってくる能力をもつ犬は、めずらしくない。
たまたま、あのゴールデンは、「ロープ」を知っていたのであろう。
この本によれば、よく訓練された盲導犬も、「飼い主が目が見えない」ということを「理解」しているわけではなく、訓練された状況に訓練された行動をしているということである。
そうか、うちのラブが簡単な足し算すらできるようにならなくても、悲観することはなにもないのだ。
安心した。
もう、ラブにそれを期待するのはやめることにする。
ところで、犬も、やはり、喜怒哀楽、恐怖や怒りの感情を持っており、飼い主に対する愛情も、本質的に人間の愛情に近いものがあるそうだ。
飼い主に撫でられてリラックスしている犬には、人間が幸福に感じるときと同じ物質が脳内に出ているそうである。
お馬鹿なうちのラブでも、その愛情がホンモノであることを知って、安心する。
でも、ラブよ、やっぱり、お前は僕より賢い。
僕も、あんまり突き詰めて考えずに、飼い主のほうばかり見ていたら良かったよ。
きっと、お前みたいだったら、もっと、飼い主にかわいがられただろうなあ。
なんのこっちゃ!
(写真は 珍しいスピッツの銘仙!)