恥ずかしい恥ずかしい僕のコンプレックス
ありとあらゆるコンプレックスを自虐的にネタにしてきたけど、口を濁してはっきり書いてこなかった言葉がある。
言ってしまおう。
出っ歯なのである。
歯並びが悪いだとか、正咬合プラスだとか、曖昧に逃げてきたけど、早い話が、出っ歯である。
そのため、子供のころから、そして、まったく腹立たしいことに、いまでも、この世界の有力な九州の大先輩に、「ねずみ男!」などと言われてしまうのだ。
さんまさん、久本さん、田村淳さんなども同類ではある。
彼らの歯は「綺麗に」並んでいるが、僕の歯は、顎の大きさに比して大きすぎ、そのままでは横に並びきらないので、前歯二本が前に、次の歯が奥に、そして八重歯が前に、という風に並んでいるのである。
歯列が前に傾斜して出ているわけではないのだけど、たしかに大きな前歯が二本出ている。
また、上顎の歯列のほうが、下顎の歯列より前に出ている。
この出っ歯が、僕の美容面での大きなコンプレックスになっていることは言うまでもないが、それだけでもない。
たとえば、麺を、前歯で噛みあわせて、噛み切るということができない。
噛み切ることができないので、いったん口に含んだ麺は、最後まで吸い上げて、口のなかに収める以外方法がない。
手打ちの麺などには、とても長いものがあって、いつまで吸っても、口のなかに収まってくれないときがある。
ずるずるずるずるずるずる。
恥ずかしいったらない。
なので、危険を察知したときは、先に、ある程度の長さ以上にならないように、箸でこっそりと切り分けておくのだが、たまに、それを逃れた麺の野郎がいて、やはり、僕を苦しめるのだ。
しかし、出っ歯で何が悪い!
なんで、覗きのことを「出歯亀」というのか!
出っ歯は、覗きの常習者が多いという、統計的に有意な調査結果があるのか!
出っ歯で、眼鏡をかければ、「あんた、日本人?」ってことになるのだが、ほんとうに日本人には出っ歯が多いのか?
誰か、ちゃんと調べたのか?
そもそも、出っ歯とはなにか。
例によってWikiで調べた。
どうやら、「歯槽側面角」というのが、出っ歯度を測るひとつの指標らしい。
詳しくはWikiを読み解いて欲しいが、要はこの図で得られるような、前歯の起点がどれほど前に傾いているか、という角度である。
(1)この角度「歯槽側面角」が小さいほど、出っ歯、つまり、歯が前に飛び出しているということになるようだ。
(2)しかし、出っ歯の要因は、これだけではない。もうひとつ重要なのは、上顎と下顎の歯列のどちらが前に出ているか、ということだ。
普通は、上顎の歯列のほうが、下顎の歯列より、やや前に出ているという。
しかし、上顎の歯列と下顎の歯列がちょうど同一位置にあり、上下の前歯がぴったりと合うようになっているひともいる。
いわゆる、手打ちうどん向きの歯並びだといえよう。
このふたつの指標で分類した場合、あなたの歯はどれだろう。
(A) 「歯槽側面角」が小(前傾している) で 上の前歯の位置が前
(B) 「歯槽側面角」が大(前傾していない)で 上の前歯の位置が前
(C) 「歯槽側面角」が小(前傾している) で 上下の前歯の位置が合致
(D) 「歯槽側面角」が大(前傾していない)で 上下の前歯の位置が合致
こうした分類をした場合、じつは、人種によってその割合はかなり違うようなのだ。
たぶん、あなたは(B)であろう。
現代の日本人にはもっとも一般的で、それが望ましいと思われている形である。
しかし、上下の歯の位置も合致しているようであれば(D)、あなたは、「やや原始的な要素を濃く」残していると思ったほうがよい。
Wikiによれば、オーストラリアの原住民はほぼ100%、上下の前歯の歯列が合致している、手打ちうどん向きの形だという。
この前歯もかっちりと噛みあう歯型は、固く粗雑な食べ物を咀嚼する必要があった古代人の特徴らしく、農業をはじめ、柔らかい食べ物を食べれるようになった人種では、少数派になってきた、ということらしい。
残念ながら、日本人は、統計的にも、白人や黒人に比べ、出っ歯が多いらしい。
日本人が強く影響を受けていると言われる「南蒙古人種」は、(A)の割合が多く、出っ歯になりやすいというのだ。
あながち、日本人=出っ歯というイメージは、間違いでもなかったのである。
ただし、過去から現代に向かって、日本人のこの傾向も、ゆるやかにはなってきているようだ。
縄文時代 | 古墳時代 | 鎌倉時代 | 室町時代 | 江戸時代 | 現代 |
---|---|---|---|---|---|
69.8度* | 64.4度 | 60.4度* | 62.6度 | 63.0度* | 76.4度 |
- (*はグラフから推算した値) Wikiより転載
驚くべき表ではないか!
鎌倉時代の日本人は、いまより、ずっと、出っ歯が多かったのだ!
平安美人の多くが、じつは、出っ歯だったかもしれない。
そもそも、出っ歯は、疾患でもなければ、恥ずべきことでもないのである。
西洋的な美意識に魂をおかされてしまったものが、それを恥れば良いのだ。
日本人であれば、出っ歯を堂々と誇れば良いのだ。
おおっ!
このブログを書いてきて、ほんとうに良かった。
たった今、長年のコンプレックスにトドメをさしてやったぜ!
出っ歯バンザイ!
(写真は 古代人物刺繍の訪問着仮縫 出っ歯があたって吹きにくかったはず!)
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