ICHIROYAのブログ

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妖怪「一反木綿」の正体見たり!

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百鬼夜行のなかで、古着屋の僕が一番気になるのは、もちろん、「一反木綿(いったんもめん)」である。

子供のころから、「ゲゲゲの鬼太郎」で、おなじみだったのだが、そもそも、脇役であり、あの独特の形の意味は、あんまりはっきり認識していなかった。
古着屋になり、布の売買を生業としているいま、「一反木綿」に興味津々である。

「一反木綿」とは、なにものなのか?
「一反木綿」って、どう考えても、怖いとは思えないんだけど?
「一反木綿」って、実在するのか?

江戸時代、土佐光信が描いた上の絵は、一反木綿のルーツであると推測されている妖怪で、本体は白い布でできており、大きな3本の爪のある足を持っている。
ゲゲゲの鬼太郎の一反木綿は、もうちょっと可愛い姿をしている。

Wikiには、「約一反(長さ約10.6メートル、幅約30センチメートル)の木綿のようなものが夕暮れ時にヒラヒラと飛んで、人を襲うものとされる」とある。

この話は、鹿児島県肝属郡高山町に伝わっているもので、その村には、実際に一反木綿がよく現れるという神社があり、子供たちがその神社の前を通るときには、一反木綿に襲われないように、誰よりも先に走って通り抜けたそうだ。

この村では、土葬のときに、木綿の旗を立てて弔う風習があったそうである。
骸を埋めた墓に建てた旗。風になびく木綿の布。死者の魂がのりうつり、いつのまにか、宙を飛んで、ひとを襲う。
うんうん、ありえる話だ。

そういえば、土葬でなくても、神社などでは、奉納の旗が建てられている。

 

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( 奉納旗 嘉永2年 木綿


こういう旗だ。
もちろん木綿で、幅は一反分である。
こういう旗が、たくさん立ち並び、ハタハタと音を立てている神社の夕暮れは、たしかに、不気味な雰囲気もあり、怖い気がする。
神社の前を走り抜ける子供たちの気持ちが、わかってきた。

おいおい!
ひょっとすると、こいつらこそが、一反木綿の正体なのではないのか!?
こいつが柱から離れて宙を飛び、首に巻きついて、人間を絞め殺す。
翌朝、こいつは、また、何食わぬ顔で、風にハタハタとたなびいている。

いやいや、そんな考えはあまりに、不謹慎だ。
しかも、こういった古い旗を数枚、僕は持っている。
そのうちのどれかが僕の言動に腹を立てて、夜中にその正体を現し・・・

あ、だめだ、やっぱり、「一反木綿」って怖い。
怖すぎる。

誰か早く、この奉納旗、買ってください!
江戸時代、嘉永2年の年記あり、手紡ぎ・手織りの和棉の良いサンプルです!