ICHIROYAのブログ

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世界標準となった、あまり知られていない、もうひとつの日本の大発明

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ふつう、50年以上も生きてくれば、もうちょっと、ひとに対する配慮ってものができても当然かと思う。
情けない。

想像力が足りない。

ひどい腰痛になって初めて、普通に立ち歩いて見えているひとのなかにも、ぎりぎりのところで、かろうじて歩いているひとがいることに気づいた。

急な動きや重い物を持ったりはできないけど、なんとか歩くことはできた。
しかし、電車などに乗ると、ごくゆっくりしか歩けないので、周りに迷惑をかけている気がして仕方がない。
包帯をしているわけでもなく、松葉杖をついているわけでもないので、腰痛があることは、外からはわからない。

「腰痛です。お先にどうぞ」っていう紙を背中に貼っておきたいぐらいだった。

だから、こう肝に命じている。
電車やバス、街中の行列や店で、誰かが邪魔だなと思ったら、相手に理由があるかもしれないと、まず考えよう。
普通に歩いているように見えるひとのなかにも、リューマチの痛みを耐えているひともいれば、妊娠初期で流産を心配しているひともいる、そして、僕のように腰痛でなどで充分には動けないひともいるのだから。

しかし!
数日前のことである。
また、まったく情けないことをやってしまった。

いつも不要な着物やゴミを市の焼却場に持っていく。
その際、市役所に寄って、書類をつくってもらい、焼却するゴミを確認してもらう必要がある。
市役所には駐車場があるが、たいてい満杯で、少し離れた第2駐車場へ回されることが多い。そうなると、市役所の担当者も、わざわざ第2駐車場まで行かねばならず、お互い効率が悪い。
そこで、市役所の担当者は、2階にある市役所玄関へ通じる進入路に停めてください、と言う。
その進入路は細く、駐車スペースはない。
そのため、車の半分を歩道に乗り上げて停め、担当者のもとへ急ぐことになる。


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僕はこうして車を停めて、玄関へ急ごうとした。

すると、玄関から、車の方向に向かって、白い杖をついたおばあさんが歩いてくるではないか。

僕はそのとき初めて、黄色い道の存在に気がついた。

そのかたは、黄色い道、視覚障害者誘導用ブロックの上を、杖で確かめながら、こちらへ向かって、歩いてこられる。
僕は慌てて振り向いて、自分の車を見た。
かろうじて、点字ブロックを踏んではいないが、ギリギリに停めてしまっている。
このまま進めば、半身ぐらいはぶつけてしまいそうだ。

「すみません! 気がつかなくて、点字ブロックのすぐそばに車、停めてしまいました!」

さっさと近づいてくるその方に、慌てて言った。

「あ、はい、はい、いいですよ」

そのかたは、見えてます、と言わんばかりに、明るく答えて、そのまま、まっすぐに歩き続けられる。

「ああっ!気をつけてくださいね」

そのかたがどの程度、状況を理解されているのか、僕にはわからない。
でも、いったん、道を塞いで、手をとって誘導する、というほどのことは、望んでおられない雰囲気だ。

僕はなす術もなく、そのかたが車に近づいていくのを見た。
さいわい、杖で車の位置を確認されたようで、すこし右に進路をずらされた。

ほっとしたのも束の間、畳んでいないドアミラーに気がついた。
杖で、足元の車の位置は確認できても、ちょうど顔のあたりの宙に突き出しているドアミラーには気づいておられないのではないか。

最悪のシーンが頭をよぎったとき、

その方は、突き出たドアミラーのすぐそばを、
無事、通り過ぎられた。

良かった・・・
もう少しで、大怪我をさせてしまうところだった。

まったく恥ずかしい話だ。
何を肝に命じているのか、この僕は。


その日から、点字ブロックの黄色い道が、本来の意味をもって、僕の目に入ってくるようになった。

そして、いまこの記事を書くのに、点字ブロックのことを少し調べて、驚いたことがある。


この点字ブロックは、約40年前に日本で発明され、世界に類を見ないほど、街中に普及している。そして、いまでは、ヨーロッパをはじめ、アジア、アメリカなどに行き渡るようになったそうである。 ( 参照サイト NHK ONLINE 福祉ネットワーク

あの黄色い道は、日本で発明されたのだった!
着物やアニメやウォークマンやカラオケだけでなく、点字ブロックだって、我らニッポン人が発明したのだ。

僕は情けなくても、
さすがだよ、ニッポン!


( 写真は 渡文さん 紬名古屋帯 渡文さんのセンスは世界で唯一無二!)