ICHIROYAのブログ

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お洒落さんになりたい、なりきれない悩み

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The Best of The Best千總の訪問着


お洒落さんになりたいのである。
でも、なりきれないのである。

19年勤めた百貨店時代。
毎シーズン2,3着のスーツを買う、というか、買わざるを得ない状況。
でも、あか抜けない。
ぱりっとした紳士服部の連中をみて、いいもん、こっちはどうせ家庭用品部だし、とすねる。
亀井さんには勝てないが、それでも、すこし寝癖。
嫁によく指摘された、猫の髭のような顎やもみあげの剃り残し。
そしてある時は出勤後にふと気づく。
左右、違う靴をはいているぞ!

いまの仕事では、スーツは不要。
会社員時代は買えなかったカジュアルを仕事中も着る。
おしゃれになりたくて、いつも、大好きなポール・スミスを買いに行く。
一応、ファッション業界で働くものとして、そこで、今シーズンのファッショントレンドなどをがつがつ勉強する。
「ああ、ほんとだ!今年はオレンジなんだな!」
「ははは、誰も買いませんけどね」と仲の良いチーフ。
速攻同意。
(・・・あぶない、あぶない、そういうものか!)
ま、ともかく、いくつか気に入ったシャツやジャケットを買う。
これで、単品では、ぐっとクールにかっこいいこと間違いなし。
しかし、パーツが揃っても、ご承知のとおり、それでおしゃれに着こなせるわけでは、ぜんぜんない。

わかっているのである。
僕のような男前でない男が、お洒落さんになるためには、ワープしてまったく別の世界にいく必要があるのだ。
所さんみたいに金髪に染めるとか、後ろを刈りあげてキューピーみたいに髪をたてるとか、シルバーのピアスをするとか、ウィングのついた眼鏡をかけるとか、丈の短いパンツをはいてみるとか・・

このまえは、別世界へ踏み込もうと、大枚をはたいて、アメリカから直輸入された黒のテンガロンハットを買ったのである。
かの国のカウボーイがかぶるホンモノである。
おしゃれの国へ、おしゃれの別次元へ。
そのへんのオヤジとちょっと違う格好だけど、全体として、かっこいい、目指すところはそこである。
しかし、テンガロンハット姿の僕を見た、娘の以前の会社の上司は
「カウボーイがきた!」

別世界に行く前に、もっと、グルーミングとかしっかりしろよ。
もっと、頻繁に散髪にもいけよ。
はいはい、わかってます。

でも、男前でない僕のような男の不幸はわかるまい。
鏡なんて、しげしげと見ていたくないのである。
いくら綺麗に鼻毛を切ってみたところで、顔の造作は変わらないのである。
いくら髪をきれいにセットしたところで、髪の量は変わらないのである。

そもそも、男たるもの、髭の剃り残しや鼻毛の状態のケアに、大切な時間を浪費していてよいのか。
男たるもの、大望とやるべき仕事があり、髭や鼻毛は、つぎのつぎのつぎのつぎであるべきなのである。
その点、亀井さんは、さすがである。
国を憂う激しい言説を吐く、その亀井さんの寝ぐせ、髪の乱れ方がハンタではない。

どういうわけか、そんな僕が呉服屋である。
幸い、お洒落さんの娘・麦が帰ってきたし、嫁もスタッフもいるので、業務自体に心配はない。
で、ぼくもたまには着物を着るが、着ることは簡単にできても、着物姿のお洒落さんへの道は遠い。
どうやら、一足飛びに、おしゃれな着物おやじ、というのは無理なようである。
ふだんの洋服姿のお洒落さんの先にしか、着物姿のお洒落さんはいないようなのだ。
そう、楽な道はない。
まずは、基本のキ、鼻毛からである。

はい。
お洒落さんになります。
ちゃんと鼻毛も切ります。
髪も金に染めて、ピアスの穴をいくつか開けましょう。
ぜったい、お洒落さんになってみせるから!

テンガロンハットに着流しがかっこいいオヤジになってみせるから!
ん?