ICHIROYAのブログ

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ひとつぶの麦、がんばります!

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麦と蝶の織り模様の袋帯 

 

長女が「祥子(しょうこ)」、次女が「麦(むぎ)」といいます。
「麦って、ちょっと変わった、かわいい名前だね」とよく言われます。

そうなんです。
どちらが良いという問題ではなく、なんだかアンバランスなんです。

「さらさ」さん、「せいか」さん姉妹とか、「クルム」くん、「シンラ」くん兄弟とか、知人のご子息のお名前は、チャーミングな名前というだけでなく、首尾一貫しています。

「麦」の受けが良いのなら、長女は、「実(みのり)」とでもすれば、首尾一貫するというものです。

なぜかというと、「麦」は、クリスチャンである嫁が、キリストの言葉からひっぱってきた名前で、その言葉のあとに「実」という言葉がでてくるのです。

キリストの言葉『ヨハネ伝』の第12章24節
「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」

長女の「祥子」には、「祥」に吉祥の意味があり、幸せになってくれよ、っていう願いが込められています。で、もうひとつ、勝手な意味があって、当時「作家になるぜ!」と思っていた僕が、「文章」の「章(しょう)」の字を「祥(しょう)」にかけたんです。(娘にはまったく関係のないことで、いい迷惑、かもしれませんが)

さて、今日は、その、次女の麦の話です。

性格的には、長女祥子が、僕の本好きを引き継いでおり、勉強は得意なほうです。
次女麦は、勉強は嫌いで、運動、音楽、ファッションの才能が、家族のなかで、抜きん出ています。
まだ、僕がこの仕事を始める前、家族と十分なコミュニケーションをとる時間がなかったのですが、祥子とはいくつか共通の話題があり、いつも話は弾みます。
が、麦とは共通の話題が少なく、会話は途切れがちになります。
加えて、高校受験、大学受験など、節目のたびに、麦の不得手な勉強の話になるので、麦は麦で、「どうせ、私は、勉強できひんし」となり、ますます、会話になりません。

会社を辞めた直後のころだったでしょうか、ある日、僕が運転する車に、麦だけが20~30分同乗することになり、そのときの車内の沈黙の冷たさといったら、ほかには記憶がないほどでした。
麦にもその時の沈黙はこたえたらしく、「もうパパの車に乗りたくない」と嫁にこぼしていたようです。

さて、そんな麦ですが、いよいよ、就職、というとき、馬鹿力を発揮します。
就職に有利とはいえない大学なので、名の通った企業は、門前払いの状態です。
当初、事務で採用してもらって、寿退社でもと考えていたようですが、事務の仕事もなかなか決まりません。
で、途中で、結局自分は何がしたいのか、真剣に考えて、「着物の仕事にする」と決めたようです。
麦は嫁とともに着付けを習っており、また、うちの仕事を手伝ったりしてファッションとしての着物に興味があったのです。
しかし、それもまた、険しい道です。
着物関連の就職は、ほとんどありません。
でも、僕ら夫婦は、もし家業をいっしょにするなら、どこかで会社勤めの不条理を経験してから、と決めていました。

結果的に、麦は大手呉服チェーン店への就職をはたしました。
自己PRには、写真とイラストと思いを込めた文章でかざったパネルを持参し、グループディスカッションでは、司会をかってでて、どこにそんな積極性とガッツがあったのかと思わせるがんばりで、僕らをも驚かせました。

それから、2年。
麦は、広島、神戸で、苛烈な呉服販売の第一線で、頑張りぬき、この春、うちに帰って来ました。
僕も嫁も、この事業を始めていままで、ほとんど、実店舗、イベントでの販売経験はありません。
が、麦は実店舗での、ディスプレイ、コーディネート提案、接客方法、新品呉服のことなど、僕らの知らないことを、たくさん勉強させていただいています。
まさに、エースとなって、うちに帰還したのです。

「着物」を絆として、いつの間にか、麦と僕の間にあった氷の壁も、溶けてなくなりました。
いまでは、僕のドライブに付き合うために、わざわざ乗り込んできたりしますし、車内でも、話すことがあれば話すし、なければ、黙っていて、それはそれで、心地良い沈黙です。

その麦が、今日から、単身、東京へお伺いして、「中之島きものいちTOKYO」に出店します。
2年の大手NCでの経験があるといっても、リサイクル、アンティーク着物の知識はまだまだです。
でも、ご安心ください。
出品する商品に関しては、事前に僕がすべて目を通しており、麦にもたたきこんでいます。

そして、もし会場で麦に会われたら、「ラブに負けて悔しいって、泣いたんだって?」って聞いてやってください。

こんなことがあったんです。
ラブラドールのラブが我が家に来て、1週間ぐらいのとき。
台所でラブとふざけていると、カウンターから見ていた麦が急に泣きだしました。
びっくりした嫁に、麦は泣きながら言ったのです。
「たった1週間で、ラブはパパからあんなに好かれて、羨ましい」

馬鹿だな。

ずっとずっと昔から、いつだって、大好きなのに。

 

PS1 中之島きものいちTOKYOの詳細はこちらです

PS2 このブログを読んでいただいている皆さん!ありがとうございます!
このブログを書いている「はてなブログ」のトップページの、「人気のブログ」欄に紹介されました! ほんとうにありがとうございます!「はてなブログ」は開始してまもないサービスなので、こんなこともおきたのかと思います。
これを読まれているときにはすでに、外されているかもしれませんので、画像を記念にGETしておきました。すこしモチベーションがあがりました。これからもがんばりますので、よろしくお願いします。

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