ICHIROYAのブログ

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怖い、怖い、怖い話(実話)

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おれは53歳の男だ。
大学でも自然科学系の学問を学んだ。
幽霊や霊魂のたぐいの話は信じない。

だから、人通りのない深夜の峠道とか山道を、車で走ったり、夜中に墓場のすぐばを通り過ぎても、怖いことなどなにもない。

たとえば、夜中のひとりのドライブ。あまり通ったことのない山道。
深夜12時頃。
くねくねと曲がる細い山道で、スポットライトに浮かび上がるのは、杉林ばかり。
道に迷っているわけでもなく、道が凍結していそうでもない。
ぜんぜん怖くはない。
ここは本州でヒグマが道を塞ぐ恐れはなく、ヒッチハイカーの幽霊が道ばたに立っているはずもなく、後ろから誰かが追いかけてきているわけでもない。
怖いはずがない。

まだ、娘たちが小さかった頃、夜、小さな村で道に迷った。
道は狭く、車1台がぎりぎり通れる程度の幅。
街灯もなく道は暗く、ぽつぽつとある家にも明かりはない。
一刻も早くそこを抜け出したいが、細い道を行けども行けども、方向転換できる場所はない。
道のわかりにくい、道の細い小さな暗い村、というだけの話。
なぜか嫁が、「慌てないで、ゆっくり行って!」と声をうわずらせている。
子供たちは、なぜかおびえて押し黙ってしまった。
俺は別に、何も焦っていない。
なんだか奇妙な雰囲気に飲まれていもいない。
道はついに小さな線路下のトンネルに突き当たる。
通り抜けれれば、その小さな村から脱出できそうだが、トンネルは狭く、通れそうにない。
ついにあきらめて、バックで、いま走った距離を戻る決意をする。
道は細く、暗い。
車のバックライトは十分明るくなく、開けた窓から首を突き出して、後ろと、道の右端の側溝を直接目視しながら、バックを始める。
とろとろバックしていたら、いつになったら村の入り口まで戻れるかわからない。
焦ってもいないし、何かにおびえているわけでもないが、強めにアクセルを踏んで、スピードを上げる。
頭は窓から突き出して、後ろとタイヤと側溝の間隔を交互に見ながら。
で、すこし走って、なにげなく、いったんアクセルを離して、車を止めようとした。
と思ったとき、窓を擦るように、すぐそばを何かが通り過ぎた。
止まった車のフロントガラスの右側に見えていたのは、電柱か何かの柱だった。
「なにげなく」スピードを落としていなければ、僕の首は電柱と車のピラーに挟まれて、もげるか、折れていたことは間違いない。
間一髪だった。
もちろん、ぞっとしたが、それはもうちょっとで、自損の事故に会うところだったというだけのことである。
そこに死に神がいて、僕の首を刈ろうとしたのかもしれない、などという想像をして、冷たい汗をかいたわけでは、けっしてない。

また、去年、骨折した足ボルトを抜くために、入院したときのこと。
あやうく命を落とすところだった交通事故の、大手術のあとの痛みでうんうん、うなっている相部屋の若者が、こんなことを経験したと言っていた。

事故の日の記憶は、まったく戻らないんですけどね、
朝、家を出た後、その日に限って、また、帰ってきて、嫁に改めて、「行ってくるし、よろしく」みたいなことを言ったようなんです。
嫁は、珍しいことがあるもんだと、とても不思議な感じがしたそうです。
で、同乗していた友人が言うんですけど、なぜかナビが故障して・・・


残念だ。
この話は時間がなくなったので、今は書けない。
不思議な偶然が重なるありえない話なので、話せば長いこともある。
僕が当事者から実際に聞いた話としては、それ以上不思議で不吉な話はない。
が、勘違いしないで欲しい。
それを書くと、何か嫌なことがおきそうな予感に、おれがおびえているせいではない。
決してない。

幽霊に殺されたという事件は新聞でもテレビでも見たことがない。
霊魂が被告になったという話も聞かないし、死に神に殺人罪が適用されたことも、俺が知る限りない。

だから、ひとけのない暗い山道を、深夜、ひとりでドライブしても、歩いても、けっして、何かが怖くなる、などということはない。

53才のおれが、意味なく、暗闇が怖いはずがないのである!