ICHIROYAのブログ

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就活なんてぶっ飛ばせ!

 

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明治期の刺繍袱紗:瓶割の図(秦の始皇帝が子供の頃、瓶に落ちた友達を救えず、オロオロしている仲間を尻目に、さっさと瓶を割って、救い出した故事を意匠化したもの)

不況で就活がたいへんのようです。
大学の知人の娘さんも就活に苦戦しているようで、本人だけでなく、親の心配もたえません。
うちの娘たちは、2才違いのくせに、長女が一浪一留したために(ああ、そういえば、僕も一浪一留でした)、就職は同じ年度になり、親としては、心配し、結果を聞いては一喜一憂したものです。

何が悔しい、悲しいと言って、これから社会に出て、がんばるぞ!と意気込む若者たちに、次から次へと「不採用」の通知を送り、何十回もそれを重ねて、若者の意気を挫いてしまうことほど、「大人」として、悔しく悲しいことはありません。
いまだ仕事をしたこともない若者たち、どう開花するかわからない若者たち、自分の価値を知らない若者たちが、「君は要らない」「君は不合格だ」「うちは要らないから、ほかへ行ってくれ」と何回も何回も言われるのです。
知人が、「ある有名企業は、自分をアピールするビデオレターをつくって送れって言うんだ。娘は、採用されそうなビデオがどうしても撮れない、私はダメなの、て泣きそうになっている」と嘆いていました。

「娘は役者になりたいわけでも、タレントになりたいわけでもないんだぞ!」と彼が言っていましたが、まったく同感です。いくら人気企業で、希望者が殺到するからと言っても、やりすぎではないか、と思ってしまいます。

そういった現状に対して、僕ができることは、たくさんの若者を採用して、社会人として育てること、につきますが、残念ながら、せいぜい、ファミリービジネスを営んでいるに過ぎず、できればそうしたいところですが、チカラがありません。
そこで、就活に悩む若者に少し、言葉を贈りたいと思います。

(1)就活がうまくいかないのは、就活の巧拙が試されているのであって、人間の価値が試されているのではない
受験勉強の巧拙が大学を決め、卒業大学と自己アピールの巧拙が、就活の成否を決めるわけですが、だからといって、それが人間の価値や、人生の成果を決めるわけでは、まったくありません。気休めではありませんよ。成功した起業家の多くや、アーティスト、幸せな結婚をしている主婦などの多くは、立派な学歴をもたない場合のほうが多いんではないでしょうか。あなたには、かならず、あなたが必要とされる場所があります。それは、就活の成否とは無関係です。

(2)大企業のほうがベターだが、中小企業も悪くはない
昨日の「クローズアップ現代」では、「辞めたくても辞めれない中小企業」というテーマでしたが、たしかにそんな企業もあることはあるんでしょうが、圧倒的に少数派です。あれを見て、やっぱり中小企業は怖い、と思われたかもしれませんが、僕が知るかぎり、ほとんどの中小企業は、「頼りにしている若い従業員を辞めさせない」ような強面のところはなく、「便りにしている若い従業員が定着せず、育った頃に辞められて、また、泣く泣くいちから教えて、会社としては、規模の拡大ができない」というところばかりです。
大企業のほうがベターなのは、やはり、規模の大きな仕事ができて、福利厚生の面も安心、給与もよくて、仲間も多く、世間体も良いっていうことでしょう。
非上場の中小企業の場合、会社の財務実態や営業実態がまったくわからないことが一番の問題です。が、もし、玉石混交のなかでも、良い会社に入れたら、大切に育ててもらって、人材が薄い分、かえって早くから色々なことを任され、実力がつく、という面があります。そういう幸運に恵まれたひともたくさん見てきました。
うちの娘たちもふたりとも、結果的に、非上場の企業に入社しましたが、長女は非常に重宝されて、海外出張などにも行かせてもらうなどして、毎日、楽しそうに会社に通っています。
ちなみに、大企業で働くリスクで、僕自身がもっとも嫌だなと思うのは、たくさん入社して仲の良かった同期たちが、苛烈な出世競争のもとにおかれ、いつの日か、同期(もしくは、後輩)たちの前に、跪くときがくるっていうことです。死ぬほど頑張ったとしても、紙一重の差だとしても、いつかは、誰かが自分より出世し、張り合っていた相手が上司となり、あなたの人生を左右するチカラをもってしまうのです。
もちろん、あなたが、同期や数年間の入社年度の競争相手のなかで、一番になる、つまり、社長になる、のであれば、そんなことは起きずにすみます。
ちなみに、偉くなった僕の同期のある人は、出世頭となったとき、酒の席で、「仕事も、人間としても、俺はお前より上や。それが正当に評価されている」と言い放ちました。
大企業も楽ではないです。

(3)人生万事塞翁が馬
手垢のついた処世訓のなかでも、もっとも手垢のついたものは、これでしょう。
でも、ホントですよ。
大騒動した我が家の就活も、終わって2年経ち、次女は先月末で退社、長女は秋に退社します。
2年前、人並みに就職できなかったら、たいへんだ、と当人、家族揃って、右往左往していた、あれは何だったんだ、と言いたくもなります。
就活なんて、どっちへ転んでも、どんな素敵な出会いがあるかは、神様のみがご存知です。
出会いは、結婚だけでなく、人生の師や、得難い親友などの場合もあり、会社選びより、こっちのほうが重大なことは、火を見るより明らかです。

(4)複数の知識を身につけよう
これは、僕の持論ですが、何かの道で、稼げるほどの上位に入るのは至難の業です。色々な道があり、それぞれの道で稼げるレベルは異なりますが、その道のトップクラスになるためには、長い年月の鍛錬と、道によっては決定的に才能が必要となります。
が、ふたつ、みっつの技能を身につければ、その技能がトップクラスでなくても、そのゾーンに需要があれば、案外かんたんに稼げることができます。
たとえば、うちの弁護士の川内先生は、かつてのパソコンオタクで、プログラムが書けます。現在、ネットやコンピューターの分野で争議や訴訟が増えていますが、川内先生のように、ツーカーで話の通じる弁護士さんはあまりおらず、引く手あまたで断るのがたいへんなようです。
いっぽう、弁護士さんは、国の政策のために急増しており、食べれない弁護士さんがたくさんいる、というではないですか。
川内先生は、早くから、「ネット・コンピューター技能」x「法律」という複数技能の特定分野に立脚されていたため、成功が早かったのではないかと思います。
かくいう僕らも、事業を始めて数年のころ、「古い着物」x「英語」x「ネットノウハウ」という、ほかの方がいない分野で、着実に事業を伸ばすことができました。それぞれの分野でトップクラスというわけではまったくなかったのですが、そういう複数技能が必要な分野に、「海外向け古着ネット通販」という需要があり、食べることができたわけです。

もし、就活がうまくいかず、神様から時間をもらったら、ぜひ、こんなことを参考に、技能をつけることをされたらどうかと思います。
僕が見るところ、延々と回り道をしても、世の役に立つひとは、ちゃんとその場に収まって、活躍しています。
一回限りの就活の成否が、そのことを妨げることは、絶対にありません。

 

ということで、就活の成否に、自分の価値を重ねるのはやめましょう。
たかが、就活です!
たまたま、社会が不況で、運悪く、こんな目にあっているのです。
大企業の連中には、「あんたはいらん」って、言わせておきましょう。
あなたの活躍を待っているひとたちが、絶対、どこかにいるんです。