鳥専門店って言うな!
バラに鳥づくしの大正振袖の逸品(未出品)より
ヒトのついた帯ばっか、買ってこないでよ
10年前、このネットショップを始めたころ、お客様は海外の方ばかりで、着物を着るひとよりも、飾ったり、コレクションする方がほとんどでした。
また、海外のお客様の好みは、抽象柄よりも具象柄、花よりも動物柄、動物柄より人物柄という面があって、僕が仕入れする帯は、平安美人や祇園祭の織り出された柄に偏っていました。
それでも、たまに、着用のために着物と帯を求めてくださるかたもいて、そんなときには、嫁が着物に合いそうな帯を在庫から探すのですが、ちょっといいものは、人物系ばかり。着物も人物などの具象柄が多いため、ヒトの着物に、ヒトの帯じゃ、とてもお勧めできない、ヒトの柄の帯ばかり買ってこないでよ、とよく叱られました。
さすがに最近は、ヒトの帯を見ると、用心深くなり、すぐに飛びつくのはやめて、自分なりに、コーディネートを頭において仕入れするように、心がけています。
最近はようやく一定のレベルに達したようです。
要は
着物と帯のコーディネートは、ボケとつっこみで選ぶ
ってことです。
われら大阪人にとって、そう考えたら、着物のコーディネートなど、簡単なものです。
ボケの帯に、ボケの着物では、ごっちゃ煮です。
つっこみの帯に、つっこみの着物では、 存在感ゼロです。
帯と着物で、ボケとつっこみのコンビを組めば、間違いはないのです。
大阪人は、ついつい、ボケおんボケを選んでしまいがちかもしれないので、そこんとこは要注意です。
あくまで、コーディネートの美しさは、「ぼけ」と「つっこみ」の絶妙な取り合わせに由来します。
「笑い飯」のような「ダブルぼけ」は高等コーディネートで、そこには、スピード感や意外性、流れるようなリズムと統一感が要求されます。
大阪人は手を出さないほうが無難です 。
と開眼したと自負している僕ですが、大阪人の血はやはり隠せないようです。
最近は、ついつい、ヒトではなく、「鳥」の柄の着物や帯が出ると、頭に血がのぼり、がつんと買ってしまいます。
「鳥」のなかの偉い順は、当然、
1、オウム 2、ひよこ 3、鳩 4がなくて、5がスズメ です。
10年前には、首位争いをしていた、孔雀と鷹は5位圏外へさようなら、です。
鳥好きなことは企業秘密ですが、なぜか、皆、僕の興味がヒトからトリへ変わったことを見抜いています。
市場で、「鳥」が出るたびに、「お~い、鳥が出てるよ」と声がかかります。
でも、うちは鳥専門店じゃないんです。手羽もつくねもおいてません!
鳥専門店、とか言うの、やめてください